キイトルーダ®と化学療法の併用治療Q&A
キイトルーダ®と化学療法の併用治療について
免疫とは何ですか?
体内に侵入してきたウイルスや細菌などの異物を排除するための防御反応です。
免疫はがん細胞に対してもはたらくのですか?
ウイルスや細菌などの異物に対する防御反応である免疫は、がん細胞に対してもはたらきかけます。
キイトルーダ®とは、どのような薬ですか?
がん治療に使われるお薬です。T細胞のPD-1に結合することにより、がん細胞からT細胞に送られているブレーキをかける信号を遮断します。その結果、T細胞が活性化され、抗がん作用が発揮されると考えられています。
化学療法とは何ですか?
抗がん薬を用いて、活発に分裂しているがん細胞の増殖を阻止したりすることで、がん細胞を死滅させる治療を化学療法といいます。
併用治療とは何ですか?
作用の異なる薬を組み合わせて使用し治療していくことを併用治療といいます。キイトルーダ®と化学療法の併用治療では、がん細胞に対するT細胞の攻撃を強めるキイトルーダ®と、がん細胞を直接攻撃する化学療法を組み合わせるため、双方の治療効果が期待できます。
キイトルーダ®と化学療法の併用治療で使用する抗がん薬にはどのようなものがありますか?
キイトルーダ®と化学療法の併用治療で使用する抗がん薬には、ペメトレキセド、パクリタキセル、パクリタキセル(アルブミン懸濁型)及びプラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)があります。
キイトルーダ®と化学療法の併用治療の前に
キイトルーダ®と化学療法の併用治療の際に、前もって医師に伝えておくことがあれば教えてください。
以下の項目に該当する方は、キイトルーダ®と化学療法の併用治療を始める前に、必ず担当の医師や看護師、薬剤師にお伝えください。
- 薬や食べ物にアレルギーがある
- 自己免疫疾患に現在かかっているか、過去に自己免疫疾患にかかったことがある
- 間質性肺疾患、肺線維症にかかっている、または以前にかかったことがある
- 聴器障害がある
- 水痘(みずぼうそう)にかかっている
- 現在、使用している薬がある
- 臓器移植または造血幹細胞移植をしたことがある
- 結核に感染している、または過去にかかったことがある
- アルコールに過敏
- 妊娠している、または妊娠している可能性がある
点滴のタイムスケジュールと治療スケジュールについて
キイトルーダ®と化学療法の併用治療で使用する抗がん薬の投与は、どのように行われるのですか?
キイトルーダ®と化学療法の併用治療で使用する抗がん薬は点滴のお薬です。使用する薬は患者さんによって異なります。担当の医師にご自身の点滴のタイムスケジュールと治療スケジュールを確認しておきましょう。
診察日や治療スケジュールを忘れないかが心配です。
患者さんがご自身で治療スケジュールや体調を把握し、担当の医師や看護師、薬剤師に知らせるメモとして、「キイトルーダ®と化学療法併用治療日誌」をご用意しています。
こちら からダウンロードできますので、お役立てください。
キイトルーダ®と化学療法の併用治療の特に注意すべき副作用
キイトルーダ®には副作用があるのですか?
キイトルーダ®は免疫機能を活性化させるため、免疫がはたらき過ぎることによる副作用があらわれる可能性があります。
どのような副作用があらわれるのですか?
以下がキイトルーダ®の注意すべき副作用です。各副作用のリンクから、より詳しい情報をご覧いただけます。
キイトルーダ®の注意すべき副作用
具体的に、どのような症状が出るのですか?
主に、以下のような症状がみられます。
すぐに担当の医師に連絡しましょう
呼吸器
― 咳
― たん・血たん
― 息切れ・呼吸困難、胸の痛み
消化器
― 吐き気やおう吐
― 食欲不振
― 下痢
― ネバネバした便や血便
― 油が浮いたり、すっぱいにおいのする柔らかい便が出る
― 便秘
― 腹痛
― お腹が張る
泌尿器
― トイレが近い
― 血尿
― 尿量の減少・尿が出にくい
筋肉・神経
― 手足に力が入らない
― 手指のふるえ
― けいれん
皮膚
― 黄疸
― 発疹などの皮膚症状
― 点状や斑状のあおあざ
― くちびるのただれ
眼
― 見え方の異常
― まぶたが重い
― ものが二重に見える
全身・その他
― 頭痛
― 意識がうすれる
― 口の中や喉が渇きやすい
― 歯ぐきや口内の出血
― 発熱
― 疲れやすい・だるい
― 血圧の左右差
― むくみ
― 体重の増加・減少
― しびれ
※気になる症状があらわれた場合には、すぐに担当の医師、薬剤師、看護師に連絡してください。
キイトルーダ®と化学療法の併用治療で使用する抗がん薬はどのような副作用があらわれるのですか?
キイトルーダ®と化学療法の併用治療で使用する抗がん薬によって以下の副作用があらわれる可能性があります。
ペメトレキセド+シスプラチン
ペメトレキセド+カルボプラチン
- 骨髄抑制*(貧血、出血傾向など)
- 感染症(発熱など)
- 間質性肺疾患**(息切れ、乾いた咳、発熱など)
- ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喘鳴、血圧低下、発疹、発赤、そう痒感など)
- 重度の下痢
- 脱水
- 腎不全
- 重篤な皮膚障害
- 発疹
- 悪心、おう吐
ペメトレキセド 適正使用ガイドより
パクリタキセル+カルボプラチン
- 過敏症及びショック(呼吸困難、胸痛、血圧低下、浮腫、じんま疹、発疹、潮紅、発熱、発汗、腹痛など)
- 骨髄抑制*(貧血、出血傾向など)
- 末梢神経障害(手足のしびれ、焼けるような痛みなど)
- 関節痛、筋肉痛
- 血圧低下
- 間質性肺疾患**(息切れ、乾いた咳、発熱など)
- 消化器障害(悪心、口内炎、粘膜炎など)
- 脱毛
パクリタキセル 適正使用ガイドより
パクリタキセル(アルブミン懸濁型)+カルボプラチン
- 末梢神経障害(手足のしびれ、焼けるような痛みなど)
- 骨髄抑制*(貧血、出血傾向など)
- 感染症(発熱など)
- 脳神経麻痺(顔面神経麻痺など)
- 間質性肺疾患**(息切れ、乾いた咳、発熱など)
- 黄斑浮腫
パクリタキセル(アルブミン懸濁型)適正使用ガイドより
* 骨髄抑制とは、血液中の白血球や赤血球、好中球などが減少した状態です。
** 間質性肺疾患についてはこちらをご参照ください。
高額療養費制度について
高額療養費制度とは何ですか?
高額な医療費による負担を軽くするため、医療機関や薬局の窓口でご自身が支払う医療費が定められた上限額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた分の支給を受けられる制度です。
高額療養費の支給を受けるには、どのような手続きが必要ですか?
事前に認定証を取得します。受診の際に、「認定証」を病院や薬局などの医療機関に提示することで、窓口での支払額が、高額療養費の自己負担限度額までとなります。
※すでに支払った高額な医療費がある場合などには、加入する健康保険組合などに高額療養費の支給を申請することで、自己負担限度額を超えた分の払い戻しを受けることができます。
具体的に、自己負担限度額を知りたいのですが?
高額療養費制度の自己負担限度額は、年齢、所得によって区分されています。
- 70歳未満の方の場合(2025年9月時点)
同一月(1日~末日)の自己負担額を、受診者、医療機関、外来・入院、医科・歯科別に、21,000円以上のものを合計します。
- 70歳以上の方の場合(2025年9月現在)
同一月(1日~末日)にかかったすべての自己負担額を世帯単位で合計します。自己負担額は、外来と入院別に設定されています。まず、個人ごとに外来分を計算します。その際、自己負担限度額を超えなかった分があった場合、その自己負担額と世帯ごとに計算した入院分を合計します。
その他に、負担が軽減される仕組みがあれば教えてください。
- 世帯合算
- 多数回該当
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 付加給付制度
- 医療費控除
などがあります。
■ 高額療養費制度に関するより詳しい情報
「がんを生きる:がんの治療費」
がんの治療に取り組む患者さんとご家族のためのがん情報サイト「がんを生きる」ではがんの治療費に関するコンテンツをお届けしています。





