キイトルーダ®の特に注意すべき副作用

キイトルーダ®の特に注意すべき副作用

キイトルーダ®は、がん細胞によって抑えられていた免疫機能を再び活性化させるため、免疫がはたらき過ぎることによる副作用があらわれる可能性があります。

症状のあらわれ方には個人差があり、発見が遅れると重症化することや継続的な治療が必要となる場合があります。あらかじめ副作用の種類や症状を知っておくことは、副作用の早期発見と対処につながります。

安心して治療を続けていくためにも、次に挙げるキイトルーダ®の注意すべき副作用と症状をしっかりと確認しておきましょう。

キイトルーダ®の注意すべき副作用

― 間質性肺疾患

― 大腸炎・小腸炎・重度の下痢

― 重度の皮膚障害

― 神経障害

― ギラン・バレー症候群等

― 劇症肝炎・肝不全・肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎

― 内分泌障害

― 甲状腺機能障害

― 下垂体機能障害

― 副腎機能障害

― 1型糖尿病

― 腎機能障害

― 膵炎・膵外分泌機能不全

― 筋炎・横紋筋融解症

― 重症筋無力症

― 心筋炎

― 脳炎・髄膜炎

― 重篤な血液障害

― 免疫性血小板減少性紫斑病

― 溶血性貧血

― 赤芽球癆

― 無顆粒球症

― 重度の胃炎

― ぶどう膜炎

― 血球貪食症候群

― 結核

― 点滴時の過敏症反応
 (infusion reaction:インフュージョンリアクション)

キイトルーダ®の副作用として予測される症状

キイトルーダ®の副作用として予測される症状

 間質性肺疾患

二酸化炭素と酸素を交換する(ガス交換)場である肺の肺胞と肺胞の間に炎症が起こり、肺の組織が硬くなってガス交換がうまくできなくなることがあります。炎症が広がり硬くなった肺の組織が増えれば、呼吸がしにくくなり、命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 階段や坂道を上ったり、少し無理をすると息切れがする・息苦しくなる

― 空咳(たんが出ない咳)

― 発熱

風邪によく似た症状です。自分で「風邪」だと決めずに、上記の症状があらわれた場合には、速やかに担当の医師に連絡してください。

 大腸炎・小腸炎・重度の下痢

大腸や小腸の粘膜に炎症が起こり、出血したり、重度の下痢があらわれることがあります。また、腸の炎症が重症化すると、大腸や小腸に穴があいたり、腸閉塞が起きたりすることもあります。症状が進行すれば命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 下痢(軟便)あるいは、排便回数が増えた

― ネバネバした便や血便

― 刺すような腹の痛み

― 吐き気・おう吐

― 発熱

― 疲れやすい、だるい

最初に下痢があらわれることがあります。1日4回以上の排便がある場合には注意してください。下痢の原因によって治療法が異なりますので、対応については必ず担当の医師にご相談ください。(自己判断による下痢止めの使用は避けてください)

 重度の皮膚障害

体中が赤く腫れたり、発疹や水ぶくれがあらわれることがあります。また、ひどい口内炎、まぶたや眼の充血、発熱が起こることがあります。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 全身に紅斑や水ぶくれが出る

― ひどい口内炎

― くちびるのただれ

― 体がだるい

― まぶたや眼の充血

― 発熱

― 粘膜のただれ

― かゆみ

 神経障害(ギラン・バレー症候群等)

両側の手や足の力が入らなくなり、しびれ感が出た後、急速に全身に広がり進行します。また、物が二重に見えたり、呼吸が苦しくなることもあります。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 手足に力が入らない

― しびれ

― 疲れやすい、だるい

― 食べ物が飲み込みにくい

― 呼吸が苦しい

― めまいや頭痛

 劇症肝炎・肝不全・肝機能障害・肝炎・硬化性胆管炎

自覚症状はほとんどなく、検査値の異常によって見つかることが多い副作用です。症状が進行すれば命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 疲れやすい、だるい

― 発熱

― 白眼や皮膚が黄色くなる(黄疸)

― 発疹

― かゆみ

― 食欲不振

― 腹痛

初期の頃は無症状ですが、上記のような症状で見つかることもあります。

 内分泌障害

甲状腺機能障害

体の新陳代謝を高めるホルモンを作る甲状腺(内分泌器官)に障害が起こり、血中甲状腺ホルモン値が上昇したり、低下することで症状があらわれます。また、自身への関心の低下がみられる場合があるので、家族の気づきが重要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

甲状腺ホルモン値が上昇することであらわれる症状

― 食事の量にかかわらない体重の減少

― 脈拍の乱れ

― 発汗

― 手指のふるえ

甲状腺ホルモン値が低下することであらわれる症状

― 疲れやすい

― おっくう・めんどう

― 便秘

― 食事の量にかかわらない体重の増加

― 声がかすれる

― むくみ

― 寒がり

下垂体機能障害

さまざまなホルモンのはたらきをコントロールする脳の下垂体(内分泌器官)に障害が起こり、下垂体ホルモンが低下することで症状があらわれます。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 疲れやすい、だるい

― 食欲不振

― 頭痛

副腎機能障害

副腎由来のホルモンが低下し、血糖値が下がることがあります。急性の場合は意識がうすれることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 疲れやすい、だるい

― 食欲不振

― 血圧の低下

― 意識がうすれる

― 吐き気・おう吐

― 発熱

― 便秘

― 体重減少

 1型糖尿病

膵臓からインスリンが分泌されなくなって、慢性的に血糖値が高くなることがあります。特に急激に血糖値が上昇した場合には命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 口の中や喉が渇きやすい

― 水分摂取がふだんより多い

― トイレが近い

― 尿量がふだんより多い

― 疲れやすい、だるい

― 吐き気

― 腹痛

― 意識がうすれる

 腎機能障害

腎臓に炎症が起こり、機能が低下することがあります。症状が進行すれば命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― むくみ

― わき腹や背中の痛み

― 発熱

― 血尿

― 尿量の減少

― 吐き気・おう吐

― 下痢

― 体重増加

初期の頃は無症状のことも多いので、排尿の回数や量、尿の色の変化にも注意しましょう。

 膵炎・膵外分泌機能不全

膵臓に炎症や消化機能の低下が起こることがあります。腹痛、背中の痛みなどが起きます。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 腹痛

― 疲れやすい、だるい

― 背中が痛い

― 白眼や皮膚が黄色くなる(黄疸)

― 油が浮いたり、すっぱいにおいのする柔らかい便が出る

― 下痢

― 体重減少

― お腹が張る

初期の頃は無症状ですが、上記のような症状で見つかることもあります。

 筋炎・横紋筋融解症

筋肉に炎症が起こる病気で手足や体幹の筋力が低下します。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 疲れやすい、だるい

― 全身の筋肉がこわばる

― 筋肉が痛む

― 手足に力が入らない(立ちあがりにくい)

― 手足のしびれ

― 発熱

― 尿の色が赤褐色になる

 重症筋無力症

筋力が低下し、まぶたが垂れ下がってきたり、食べ物が飲み込みにくくなったり、呼吸困難が起きたりすることがあります。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 疲れやすい、だるい

― まぶたが重い

― 顔の筋肉が動きにくくなる

― 手足・肩・腰などに力が入らない

― ろれつが回らなくなる

― 呼吸が苦しい

― ものが飲み込みにくい

― ものが噛みにくい

※症状が朝と夕方で異なる

 心筋炎

心筋に炎症が起こる病気で、かぜのような症状(発熱、咳など)が起きます。
急性の場合、命にかかわる場合がありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 発熱

― 疲れやすい、だるい

― 胸の痛み

― 息切れがする

― 筋肉痛

― 手足のむくみ

― 

 脳炎・髄膜炎・脊髄炎

頭痛、おう吐、意識障害、けいれん、項部硬直(首の後ろが痛くなり曲げられなくなる)などの症状があらわれます。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 発熱

― 頭痛

― 吐き気

― うなじがこわばり首を前に曲げにくい

― 行動や言動の異常

― 意識がうすれる

― けいれん

― 手足に力が入らない

― 尿が出にくい

― 便秘

― 感覚が鈍くなる

また、多発性硬化症の悪化、視神経脊髄炎スペクトラム障害により、見えにくい、見える範囲が狭いなどの症状があらわれることがあります。

 重篤な血液障害

免疫性血小板減少性紫斑病
(めんえきせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)

出血を止める役割の血小板が減少し、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりします。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 皮膚にみられる点状や斑状の紫斑
(押しても消えない)

― 歯ぐきや口内の出血

― 鼻血

― 月経過多

― 血尿

溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)、赤芽球癆(せきがきゅうろう)

赤血球が減少することで、全身に酸素が十分いきわたらなくなり、貧血症状があらわれます。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― めまい

― 疲れやすい、だるい

― 動悸・息切れ

― 頭痛

― 顔が蒼(あお)白くなる

― 白眼や皮膚が黄色くなる
(軽い黄疸)

無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)

細菌を殺す働きをもつ好中球が極端に減少することにより、感染症にかかりやすくなります。
発熱を起こした場合には命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 発熱

― さむけ

― のどの痛み

 重度の胃炎

胃に重度の炎症が起こることがあります。吐き気やみぞおちの痛みなどが起きます。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 吐き気・おう吐

― みぞおちの痛み・不快感

― 食欲不振

― ものが飲み込みにくい

 ぶどう膜炎

眼の中に炎症が起こることがあります。以下のような見え方の異常を感じたら、すぐに担当の医師に連絡してください。見え方のほかに、全身の異常(頭痛、耳鳴り、白斑、白髪など)があらわれるフォークト・小柳・原田病にも注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― かすみがかかったように見える

― 虫が飛んでいるように見える

― まぶしく感じる

― 見えにくい

 血球貪食症候群(けっきゅうどんしょくしょうこうぐん)

白血球や赤血球、血小板などが減少することにより、さまざまな症状があらわれます。
症状が進行すれば命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 発熱

― 疲れやすい、だるい

― けいれん

― 皮膚にみられる点状や斑状の出血

― 腹部のはり

― 顔のむくみ

― 下痢

 結核

結核菌という細菌により引き起こされる感染症で、主にかぜのような症状(咳、発熱など)があらわれます。症状が進行すれば命にかかわることがありますので、注意が必要です。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 

― たん・血たん

― 発熱

― 疲れやすい、だるい

― 体重減少

― 寝汗をかく

 点滴時の過敏症反応

(infusion reaction:インフュージョンリアクション)

  • 点滴中の注意点( 点滴中に起こりうる副作用 )

点滴中や点滴直後にもアレルギーのような症状があらわれる「点滴時の過敏症反応(infusion reaction:インフュージョンリアクション)」が起こることがあります。
点滴中あるいは点滴後にも以下のような症状があらわれた場合には、担当の医師または看護師、薬剤師に連絡してください。

すぐに担当の医師に連絡しましょう

― 皮膚のかゆみ

― じんま疹

― 声がかすれる

― くしゃみが出る

― 喉のかゆみ

― 息苦しい

― 胸がどきどきする

― 意識がうすれる

― めまい・ふらつき

― 血圧の低下

※点滴終了後、1~2時間後に症状があらわれる場合があるので注意してください。

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